しんあい小話 4 [いろいろ小話]
WEB拍手お礼SSとして掲載していたものです。
まさネネとしんあいです。
↓ からスタートです。
●馬に蹴られるよ
「しんちゃんってズルイと思う。」
帰り道、ネネちゃんの発した一言にマサオは驚いた。
「そんなの幼稚園のころからじゃない。」
今まで散々被害にあってきたのはほかならぬ自分たちではないか。
なにより一番の被害者は僕だという気持ちを込め、マサオは言った。
「ううん、そういうズルさじゃなくて・・・つまりはあいちゃんのことよ!」
『あいちゃん』という言葉に、マサオは「ああ・・・」と呟いた。
「あの二人の会話を聞いてると、いっつもあいちゃんが『好き』って言ってるのよ。しんちゃんは自分の気持ちを伝えてないの!」
聞き耳を立てているネネの姿を想像しつつ、
「でもしんちゃんを見てれば、あいちゃんのことをどう思っているかなんて一目瞭然じゃない。」
と、マサオは反論した。
幼稚園のころはあいが信之介を追いかけてばかりいた。
だが今はそれだけではない。
他の人間にはわかりづらいかもしれないが、信之介もあいのことをちゃんと見ている。
大切に思っている。
改めて聞いたことはないけれど、時々信之介が見せるふとした表情に、それが見てとれる。
だからこそマサオは幼きころのあいへの淡い思いを封印し、二人を応援することができるのだ。
「そういう問題じゃないの!
ネネは信之介を擁護したマサオをきっと睨みつけた。
「まったく、マサオ君は女の子のことがわかってないんだから!女の子はね、ちゃんと言葉で伝えてほしいものなの。『好き』って言ってもらいたいの!わかった?」
人差し指を立て迫るネネに押し切られるような形で、マサオは「う・うん」と頷いた。
―――でも、男の子の立場から言わせてもらうと、その『好き』って一言がなかなか言えないんだよなぁ。
マサオは隣で親友の恋路ばかりを気にするネネを見、こっそり溜息をついた。
●覚悟するのはどっちだ
「あいは諦めませんから!」
あいちゃんは喫茶店に着くなり、こう言った。
「これから先、しん様を好きになる女の子は、きっとたくさんでてきますわ。中にはとても綺麗な方もいるかもしれません。でも、あいは幼稚園のことからずっとしん様一筋ですもの。」
何があったか知らないが、おそらくネネちゃんから適当なことを聞いたに違いない。
あいちゃんはぐっと拳を握りしめた。
「絶対に負けません!」
負けませんと言われても、返事のしようがない。
あいちゃんの思い描いている仮想敵は、現実にはいやしないのだ。
「あいが一番しん様のことを好きですもの。」
困る。
あいちゃんは幼稚園のころから、平気で「好き」という言葉を使う。
使いすぎて、もう感情が麻痺してしまってるのではないかと俺は思う。
だから困る。
例えあいちゃんがそうだとしても、こちらはそうではないのだから。
「しん様に嫌がられても、あいは諦めません!」
そもそも俺が嫌いな相手と二人きりで喫茶店に行くと思っているのだろうか。
大人しく、ケーキを食べるのを見ているとでも思っているのだろうか。
頭がいいのだから、俺があいちゃんの頬についているクリームをどうにかしたいと思っていることに、少しは気付いてほしい。
「あいは覚悟が出来てます!」
勇ましくあいちゃんは言う。
―――多分その覚悟は間違っている。
【あとがき】
ちょい攻め気味のしんちゃんを書きたかったんですよ・・・。
まさネネとしんあいです。
↓ からスタートです。
●馬に蹴られるよ
「しんちゃんってズルイと思う。」
帰り道、ネネちゃんの発した一言にマサオは驚いた。
「そんなの幼稚園のころからじゃない。」
今まで散々被害にあってきたのはほかならぬ自分たちではないか。
なにより一番の被害者は僕だという気持ちを込め、マサオは言った。
「ううん、そういうズルさじゃなくて・・・つまりはあいちゃんのことよ!」
『あいちゃん』という言葉に、マサオは「ああ・・・」と呟いた。
「あの二人の会話を聞いてると、いっつもあいちゃんが『好き』って言ってるのよ。しんちゃんは自分の気持ちを伝えてないの!」
聞き耳を立てているネネの姿を想像しつつ、
「でもしんちゃんを見てれば、あいちゃんのことをどう思っているかなんて一目瞭然じゃない。」
と、マサオは反論した。
幼稚園のころはあいが信之介を追いかけてばかりいた。
だが今はそれだけではない。
他の人間にはわかりづらいかもしれないが、信之介もあいのことをちゃんと見ている。
大切に思っている。
改めて聞いたことはないけれど、時々信之介が見せるふとした表情に、それが見てとれる。
だからこそマサオは幼きころのあいへの淡い思いを封印し、二人を応援することができるのだ。
「そういう問題じゃないの!
ネネは信之介を擁護したマサオをきっと睨みつけた。
「まったく、マサオ君は女の子のことがわかってないんだから!女の子はね、ちゃんと言葉で伝えてほしいものなの。『好き』って言ってもらいたいの!わかった?」
人差し指を立て迫るネネに押し切られるような形で、マサオは「う・うん」と頷いた。
―――でも、男の子の立場から言わせてもらうと、その『好き』って一言がなかなか言えないんだよなぁ。
マサオは隣で親友の恋路ばかりを気にするネネを見、こっそり溜息をついた。
●覚悟するのはどっちだ
「あいは諦めませんから!」
あいちゃんは喫茶店に着くなり、こう言った。
「これから先、しん様を好きになる女の子は、きっとたくさんでてきますわ。中にはとても綺麗な方もいるかもしれません。でも、あいは幼稚園のことからずっとしん様一筋ですもの。」
何があったか知らないが、おそらくネネちゃんから適当なことを聞いたに違いない。
あいちゃんはぐっと拳を握りしめた。
「絶対に負けません!」
負けませんと言われても、返事のしようがない。
あいちゃんの思い描いている仮想敵は、現実にはいやしないのだ。
「あいが一番しん様のことを好きですもの。」
困る。
あいちゃんは幼稚園のころから、平気で「好き」という言葉を使う。
使いすぎて、もう感情が麻痺してしまってるのではないかと俺は思う。
だから困る。
例えあいちゃんがそうだとしても、こちらはそうではないのだから。
「しん様に嫌がられても、あいは諦めません!」
そもそも俺が嫌いな相手と二人きりで喫茶店に行くと思っているのだろうか。
大人しく、ケーキを食べるのを見ているとでも思っているのだろうか。
頭がいいのだから、俺があいちゃんの頬についているクリームをどうにかしたいと思っていることに、少しは気付いてほしい。
「あいは覚悟が出来てます!」
勇ましくあいちゃんは言う。
―――多分その覚悟は間違っている。
【あとがき】
ちょい攻め気味のしんちゃんを書きたかったんですよ・・・。
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