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空気人形 3 [映画]

「あなたも あるとき 私のための風だったのかもしれない」
吉野 弘さんのこの詩(『生命は』)、とても印象的でした。

 ↓ からキャラクターについての感想です。


●空気人形
“俗”に属しながら“聖”。
出発点が「代用品」であるため痛々しく生々しい場面もあったというのに、清らかで濁りがない。
誕生日のシーンは、いま思い出しても切なくなります。
蝋燭を消すとお伽噺は終わってしまうと、誰かが教えてあげていたならば・・・。
・・・それでも彼女は蝋燭を消したのかもしれない。
はらはらと涙を流し、ふぅと息を吹きかける。
ほら、魔法は解けてしまった。
しかし魔法が解けた後でも、空気人形はキレイでした。
演じるペ・ドゥナさん。
まさにハマり役!
スクリーン映えする表情・所作をもっている女優さんですね。
雫に触れる、彼女のファーストシーンは本当にキレイでした。
というより、全編にわたって彼女は綺麗。

●純一
時がず~っと止まっている人。深海のよう。
空虚が深く、店長と違って荒んでいない分余計それが目立つ。
本当は自分の空気を抜きたかったんでしょう?
演じるARATAさん。
淋しさを刺激する声でした。
本当にぽっかりなにかをなくした人のように見えました。

●秀雄
ノゾミを愛し続ける人。
職場では後輩に小馬鹿にされ、家に帰るとなんにも言わない空気人形に心身ともに慰めてもらっている。
以前ニュースで女性型のロボットが紹介されているのを見ましたが、この先未来では秀雄さんのような人(男性だけじゃなく、女性も)が増えるかもしれません。
人を良くするための技術開発が、人のつながりの希薄性や少子化を導く可能性があるかもしれないなんて皮肉だな・・・。・・・なんて真面目なことを考えてしまった(^^;)。
演じる板尾さん。
上手い下手の問題ではない。すごいの一言。
秀雄さんがただ不気味なだけでなく、どこか共感をもってしまう人物になったのは、板尾さんだったからだと思います。

●店長(鮫洲)
楽しい人だな~と思っていたのに、後半はああいうことを。
パートナーが不在という点では純一と同じなのに、あれほど部屋の有様が違うのは、不在の理由が違うから。この対比は上手い!と思いました。
演じる岩松さん。
人が良さそういて、実は・・・という店長役が自然でしたね~。
パンフにある、たくさんのビデオを前にこわばった表情でひとり立っている姿が、店長の内面を表しているように思いました。

●婦人(千代子)
ふわふわして現実離れしているようにでいて、話すことは事件のこと(笑)。
でも他の登場人物に比べ、おまわりさんという話し相手がいたので、安心して見ていられました。
演じる富司さん。
素敵な老婦人が交番にいるというギャップに和みました。

●おまわりさん(轟)
見たい映画が悪い警官の話(笑)。
それで日ごろの鬱憤を晴らしているのでしょうか。
でも千代子さんとちゃんとお話していたり、花に水をあげていたり。
千代子さん同様、安心して見ていられました。
演じる寺島さん。
制服姿で千代子さんとにこやかに話す姿、素敵でした。
悪い警官の話に、ご自身が出演していそうですね(笑)。

●老人(敬一)
今思うと、要所要所で、空気人形を諭す重要な人物。
体で慰めようとする空気人形を制してくれたのは、ほんとうに嬉しかった。
もしあのままそういうことになっていたら、すごく苦しかったし、映画もがらっと違うものになっていたのではないでしょうか。
演じる高橋さん。
少ししゃがれた声が良いなと思いました。説得力がある声。

●創造主(園田)
空気人形の父。
「おかえり」と、すごく優しく迎えてくれる。
別れ際、空気人形に問いかけるとき一瞬逡巡したところが良いなぁ。
園田さんも、いろいろ葛藤があったのでしょうね。
演じるオダギリさん。
冷え冷えとした工房のなかにあるあたたかい笑顔でした。
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