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ヴァニラ学園 12 [ヴァニラ学園]

WEB拍手お礼SSとして掲載していたものです。
ヴァニラウェア作品のプリンセスクラウン、グリムグリモア、オーディンスフィアのクロス物語となっております。

苦手な方は、ご注意ください。



よろしければ「続きを読む」からどうぞ~。
リヨン、エリエル、オパールネラが出てきます。



●秘密の恋人



窓際で談笑する男女。
交わしあう眼差しの奥に見え隠れする熱のせいなのだろうか、寄り添っているわけでもないのにかなりの親密さを感じられる。
―――絵になるな。
数学教師・オパールネラは、心からそう思って二人を見ていた。
だが問題がある。
それは男が地理教師、女が生徒ということであった。


とんとん。
ドアは開かれていたが、念のためオパールネラはノックし、地理学準備室に入る。
「リヨン先生、2学年担任用回覧板です。一度目を通しておいてください。」
二人は慌てたそぶりも見せず、オパールネラを振り返った。
「では、わたしは失礼します。」
回覧板を机に置くオパールネラに一礼し、女生徒・エリエルは準備室を去って行った。
エリエルは、この学園で知らぬものはいないヴァレンディア家三姉妹の長女である。成績優秀スポーツ万能、その上生徒会長を務めている、まさに品行方正の鏡である生徒であった。
たしか彼女の1年の担任が、目の前にいるリヨンだったとオパールネラは記憶している。
オパールネラはエリエルの背を見、リヨンへ顔を向けた。
「・・・密会なら扉を閉めるべきでは?」
あまりにも小さな声だったので、一瞬リヨンはオパールネラの独り言かと思った。
「そんなんじゃありませんよ。」
リヨンは笑って答え、回覧版に手を伸ばす。
「それで通じると、本当に思っているのですか?」
オパールネラは先ほどより少し大きめの声で言う。
「『人の口に戸は立てられぬ』というでしょう。教師という立場もある、生徒会長という立場もある。もっと慎重に、」
「意外ですね。」
いくぶん惚けたトーンで、リヨンがオパールネラの言葉を遮った。
「・・・は?」
「いえ、先生にはてっきり大反対される、もしくは『教師失格だ!』くらいのことを言われるかと思っていたので。」
「それは・・・。自分では儘ならぬ思いがあるということもありますから・・・。」
珍しく歯切れの悪い言い回しのオパールネラに、リオンは笑顔のまま尋ねた。
「もしや、オパールネラ先生も恋をされているのでは・・・?」
「なっ、なにを・・・!」
オパールネラは予想外の問いかけに思わず後ずさる。わかり易すぎる反応にリオンは吹き出した。
「おや?図星だったのかな?」
「ち・違う!わ・私は生徒のことを考えて・・・」

話をすり替えられたことに気付かないで必死に言い訳するオパールネラを、リヨンは可愛い人だなと思った。もちろん、彼女の次に、ではあるけど。
オパールネラの思い人は大体想像がつく。
日ごろのオパールネラの態度を見れば、火を見るよりも明らかだ。
ただ残念なことに、その思い人には伝わっていない。いや、伝わっているかもしれないが、今のところ無反応。興味なし、といったところだ。
―――こういう素の自分を、彼の前でもみせればいいのに。
リヨンは慌てふためくオパールネラを目に収めつつ、去り際オパールネラに聞こえない声で「また明日」と耳打ちした恋人を思った。

―――彼女のああいう悪戯めいた笑顔を知っているのは、おそらく自分だけ。





【あとがき】
リヨン×エリエルは外せません。三姉妹は幸せになるべきなのだ(笑)!
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