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ヴァニラ学園 11 [ヴァニラ学園]

WEB拍手お礼SSとして掲載していたものです。
ヴァニラウェア作品のプリンセスクラウン、グリムグリモア、オーディンスフィアのクロス物語となっております。

苦手な方は、ご注意ください。



よろしければ「続きを読む」からどうぞ~。
バティド、エドワード、リレ、メルセデス、グラドリエルが出てきます。



●バティドとエドワード



隙がない男。
それがエドワードに対するバティドの印象であった。
礼儀正しく、姿勢も美しい。指先の仕草までもがしゃんとしている。まあ髪が癖っ毛のため、ところどころ飛び跳ねているのはご愛嬌だが。
―――纏っている雰囲気からして隙がないんだよな、こいつ。
しかし、それが緩む瞬間がある。
「お、姫君のご登場だ。」
この一言で一発だ。

「あの、エドワード君はいますか?」
『あ』の声でエドワードが椅子から立ち上がったのを、バティドは見逃さなかった。
エドワードはクラスメイトが自分を呼ぶ前に、さっさと姫君のもとに辿りついていた。
―――すごいな、あいつ。
頬杖をつき、ぼ~っと見遣りながらバティドは思う。
―――テレビのイントロクイズに出たら優勝間違いなしだ。いや、姫君の声限定だからそれは無理か・・・。
グラドリエルはどうやら英語の辞書を返しに来たらしい。
「ありがとうございました。」
「いや、別にいい。」
会話はそれだけ。
グラドリエルは自分の教室に帰ったようで、用事を終えたエドワードが席に戻ってきた。
「ずいぶん短い逢瀬だったな。」
バティドがこう言うと、エドワードは嫌な顔をする。
「逢瀬?単なる用事だ。」
ほんと、ぶっきらぼうだな、この男は。
グラドリエル姫はこんな無愛想な男のどこがいいのかねぇ。今度じっくり聞いてみたいものだ。
バティドがそんなことを考えていると。
「そういえば残念だったな、バティド。」
「・・・なにが?」
「今日はグラドリエル一人。金髪の秀才の君はいなかったな?」
口元にニヤリと笑みを浮かべ、エドワードは言う。

―――ほんっと、隙がない男だ。




●エドワードとバティド



つかめない男。
それがバティドに対するエドワードの印象であった。
いつも飄々としているが、締めるべき時はきちんと締める。隙だらけのようでいて、決して致命傷にならぬ隙しかみせていない。
視野が広いとでも言うのだろうか。家庭の事情で1年留年したというが、バティドの観察眼は年が上だからということが理由にはならない気がする。

「お、グラドリエル姫。」
窓に寄りかかってグラウンドを眺めていたバティドの声で、エドワードは思わず立ち上がってしまった。
バティドは誤解しているようだが、いわば条件反射なのだ。
これは幼き頃よりグラドリエルを守るために、日夜修行に励んでいた結果。決してバティドが期待するような色恋の問題ではないのだと、バティドのにやけた視線を頬に感じながらエドワードは心で強く思った。
バティドの隣に並び、グラウンドのグラドリエルを見つめる。
今日もリレ・ブラウ、メルセデス・リングフォールドと一緒だ。
―――この二人が一緒なら問題はあるまい。
エドワードはほっと一息つく。

ふとバティドへ視線を向ける。
バティドは笑みを浮かべ、3人を見ていた。
「面白いよな、あいつら。」
『あいつら』と、グラドリエルを一纏めにするのはいささか気に入らなかったが、バティドの優しい声色に気を取られた。
バティドの視線の先をたどると、金髪の少女に行きつく。
―――なるほど、そういうことか・・・。
彼女がいるからグラドリエルに気づくのも早い、ということか・・・。

バティド自身、自分の気持ちに気付いているか否かはわからない。
だがバティドの弱点らしきものを見つけ、エドワードは思わずほくそ笑んだ。




【あとがき】
エドワードの融通のきかなさとバティドの飄々さは、結構相性いいのでは・・・?と思ったりしてます。
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