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ヴァニラ学園 2 [ヴァニラ学園]

WEB拍手お礼SSとして掲載していたものです。
ヴァニラウェア作品のプリンセスクラウン、グリムグリモア、オーディンスフィアのクロス物語となっております。

苦手な方は、ご注意ください。



よろしければ「続きを読む」からどうぞ~。
イングウェイ、アドヴォカート、メルセデス、リレ、グラドリエルが出てきます。



●化学反応同好会



化学反応同好会。
元はと言えば、1年のころ「カルメ焼きって結構美味いよな」というイングヴェイの一言から始まった。
「言われてみれば、確かに」と話に乗ってきたのがアドヴォカートで、同好会としての最低人数はアドヴォカートの年上の彼女達に名前を借りることでクリアした。
二人とも「化学反応“同好会”を“部”に昇格させたい」などという願望はこれっぽっちもなく、ただ放課後理科室を占領し、だらだらとした時間を過ごすことに専念していた。

その不文律が破られたのは、5月に入ったころ。
イングヴェイが少年漫画、アドヴォカートが官能小説を読んでいた時、ガラガラと勢いよく理科室の引き戸が開けられた。
「イングヴェイ、約束通り友達2人連れてきたわ!」
「あん?」
元気よく教室に飛び込んできたのは、イングヴェイの幼馴染メルセデスであった。
言葉どおり、背後にラヴェンダーと金色の髪の少女を二人引連れている。
「約束通り・・・って、俺、そんな覚えないけど・・・。」
「こないだ言ってたじゃない、『化学反応同好会も二人だけになった』って。このままだと解散しなくてはならないのでしょう?だからわたし、友達に声をかけてみたの。」
誇らしげなメルセデスを見、イングヴェイは記憶を辿る。
「言ったような気はするが、別に人数集めろなんて頼んじゃいないぜ?このままおれたちの代で終わりにしたって、」
「だめよ!解散させちゃうなんて絶対だめ!怠け者のイングヴェイがせっかく作った同好会なのに、簡単に終わりになんてさせないんだから!」
メルセデスはギュッと手を握りしめ訴える。
真剣そのもののメルセデスと、その過剰な熱意にあっけにとられるイングヴェイ。
二人の間に割って入ったのは、もう一人の同好会メンバーのアドヴォカートであった。
「そこまで言われたら、入会を拒否するわけにはいかないんじゃないか、イングヴェイ。」
今まで二人の会話を聞くだけだったアドヴォカートは、クスクス笑いながらこう言った。
そしてつかつかとメルセデスの方へ近づき、右手を差し出す。
「化学反応同好会にようこそ。」
メルセデスは嬉しそうに、「よろしくお願いします!」とアドヴォカートの手を握り返した。
「後ろのお二人も、どうぞ好きな椅子に座ってください。さっそく化学反応同好会特製のカルメ焼きをご用意しましょう。」
アドヴォカートはそう言って隣の器材室に向かう。
「良かったね、メルセデス」「ありがとう、リレ、グラドリエル!」という声を背中で聞きながら、イングヴェイはアドヴォカートを慌てて追いかけた。



「おい、アドヴォカート!ちょっと待てよ!」
「あの娘がメルセデスか。」
アドヴォカートは鼻歌交じりに、カルメ焼きに使うアルコールランプを選ぶ。
「・・・ああ。」
「かわいいじゃないか。」
「・・・おい・・・」
「心配するな。俺がお前の大事な幼馴染にちょっかい出すはずがないだろう。」
この言葉に、イングヴェイは弱点を握られたと観念した。
「まあ、たまにはひよこちゃんを相手にするのもいいじゃないか。」
実に楽しそうにアドヴォカートは言う。
「特にあのラヴェンダー髪の少女。彼女の立ち姿は気品が漂っていて素晴らしい。ある種の風格が既に備わっているな。」
「たしかに美人だな。」
イングヴェイは頷き、「金髪の子もいい」とも言う。
「・・・イングヴェイ・・・」
アドヴォカートは少々あきれた声を出す。
「まさか『俺の幼馴染の友達を選ぶ目に間違いはない』とでも言いたいのか・・・?」
「んなわけあるか!」とイングヴェイは噛みついた。
「あの娘も素材は悪くないが・・・彼女とは対極の位置にいるな。つまり、“野暮ったい”とでも言おうか・・・。」
そう言ってアドヴォカートはくすりと笑い、「たしかに可愛いけどな」と付け加えた。

準備を終えたアドヴォカートは、「お待たせしました」と理科室に戻っていった。
―――トラブル起こさなきゃいいが・・・。
アドヴォカートの後ろ姿を見ながら、イングヴェイは思った。
朗らかにメルセデスら3人に話しかけ微笑む姿は、本来のアドヴォカートを知るイングヴェイにとっては、猫を何枚被っているか数えたくなるくらい薄気味悪いものであった。
―――まあ、あいつは基本的に年上好きだから大丈夫か・・・・。

だが、何事にも例外はつきものである。
しばらく経ったのち、イングヴェイははた迷惑なアドヴォカートの恋愛に振り回されることになる。




【あとがき】
メルセデスを幸せにしたい・・・!
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