ルナミ小話 １ [いろいろ小話]
ＯＮＥ ＰＩＥＣＥの小話です。
ルフィとナミのお話。あんどロビンも。
↓ からスタートです。
「ナミ！頼む！金貸してくれ！」
ウィンドウショッピングをしていたところ、大声で自分の名前を叫ぶ大馬鹿野郎がいると思ったら、本当に大馬鹿野郎が現れた。
「はあ？お小遣いならさっき渡したでしょ？」
顔の前で両手を合わせ片目をつぶる麦わら海賊団船長に、ナミは素気無い返事をする。
「そんなのとっくに飯で使っちまった。」
けろっとした顔で答えるルフィを見、ナミはこめかみを押さえた。
「あ～の～ね～、ルフィ、あんたに一体いくら渡したと思ってんの！」
「んなの覚えてるわけねぇだろ。」
「あんたね、いかにも当然って顔して答えないでよ！」
「ああ、面倒くせえな。ナミも来いよ！」
ルフィはそう言うと、ナミの手を引いて駈け出した。
「ちょっと、あたしはまだここの洋服みてたいの！」
「いいから、あとにしろって！」
ルフィは振り返りニイっと笑う。ナミは、はぁ・・・と諦めの大きなため息をついた。
ルフィが足を止めたのは古着屋であった。
入口近くに並んでいる服を手に取り値段を見ると、さほど高い価格設定ではない。近ごろは暴利を貪る店もあると聞くが、ここは良心的な古着屋のようだ。
ルフィはすたすたと店の中を通り、目的の服の前に行くとびしっと指さした。
「ほら、見てみろよこれ！」
それは黒色のマントであった。
膝丈のロングコートで、前合わせの部分はダブルボタンとなっている。裾がいくらか傷んでいたが、わざと粗めの生地を使ったデザインに見えなくもない。
「へ～、素敵じゃない。」
ナミが素直に褒めると、「だろう！」とルフィは喜んだ。
「だから、な、頼む、ナミ！金貸してくれ！」
「・・・ったく、あたしまで買う破目になったじゃないの・・・。」
「得したからいいじゃねぇか。」
にししと笑うルフィの両手には紙袋が二つ下がっていた。
内訳は黒色のコートが２着。ルフィの分とナミの分である。
ルフィにお金を預けたら店員の言うがまま支払うに違いないと、ナミが代わりに値下げ交渉に勇んで行くと、「同じシリーズでレディースもありますよ」と店員に勧められ、それを見たルフィが「おお～、いいじゃんか！」と騒ぎ出し、気付けばナミは試着することとなった。
―――我ながら素敵。
鏡に映った自分に満足していると、カーテン越しに「早く出てこいよ」とルフィの声が聞こえてきた。
勢いよくカーテンを開けマントを羽織った姿を見せると、ルフィは「すげ～似合ってる」とナミを褒めそやす。それで、つい「じゃあ、これもお願いしようかしら」・・・という展開になってしまった。
まったく予定外の買い物である。
とはいえ、「あれもつけていただけるかしら」と、ちゃっかり同色の海賊帽をおまけにしてもらったのは流石ナミと言えよう。
「いや～、いい買い物したな～。」
目当てのマントだけでなく海賊帽も手に入れ、ルフィはご機嫌であった。
「人のお金でよく言うわね、倍にして返してもらうわよ。」
「おう、まかせとけ！」
―――なにが『まかせろ』よ。
ナミは苦笑した。
「お帰りなさい。」
「ただいま、ロビン。」
船に帰ると、ロビンが甲板でひとり本を読んでいた。
「みんなは？」
「まだ帰らないわ。」
「そう。迷子になってなきゃいいんだけど。」
「ところでルフィ、ずいぶんと買い物をしたのね。」
「おう！」
紙袋をテーブルに置き、ルフィは自慢げに言う。
「かっけー海賊マントがあったんだ！ロビンも見てみるか？」
「ええ。」
こんなに喜んでいるならお金を貸した甲斐もあったな、とナミがぼんやり思っていると、
「ナミとお揃いなんだ！」
ルフィはこれまた満面の笑みでロビンに言った。
「ちょっ、ルフィ・・・！たまたまでしょ！？たまたま同じ色だったんでしょ！？」
『お揃い』という響きが気恥ずかしく、ナミがルフィの頬を抓ると、「あら、そう。」とロビンは読みかけの本をパタンと閉じた。
「せっかくだから二人で着て見せてくれないかしら。」
ロビンの言葉にナミは目を丸くした。
「おう、もちろん！」
ルフィはあっさり答えたかと思うと、ナミが反論するよりも早く、レディースのマントを紙袋から取り出しナミの肩にかける。
「これがナミので・・・」
そのまま勢いよく手を紙袋に突っ込み、ルフィは自分の黒のマントを宙に翻して腕を袖に通した。
「これがオレの！似合うだろ？」
ルフィはナミの肩を抱き寄せる。
―――ああ。もう・・・！
ナミは額に手を当てる。
ここにいるのが、ロビン一人で良かった。もし他に誰かいたらと思うと、ぞっとしない。
そんなナミの心の葛藤を知ってか知らずか、ロビンは「本当によくお似合い」と笑う。
ルフィも「だろ？」と笑った。
ナミはとりあえず「ありがとう」と答え、ほんのり色づいた頬をルフィの麦わら帽で隠した。
【あとがき】
『ＳＴＲＯＮＧ ＷＯＲＬＤ』がルナミだよと聞いたので、ぜひ見たいと思います！
ルフィとナミのお話。あんどロビンも。
↓ からスタートです。
「ナミ！頼む！金貸してくれ！」
ウィンドウショッピングをしていたところ、大声で自分の名前を叫ぶ大馬鹿野郎がいると思ったら、本当に大馬鹿野郎が現れた。
「はあ？お小遣いならさっき渡したでしょ？」
顔の前で両手を合わせ片目をつぶる麦わら海賊団船長に、ナミは素気無い返事をする。
「そんなのとっくに飯で使っちまった。」
けろっとした顔で答えるルフィを見、ナミはこめかみを押さえた。
「あ～の～ね～、ルフィ、あんたに一体いくら渡したと思ってんの！」
「んなの覚えてるわけねぇだろ。」
「あんたね、いかにも当然って顔して答えないでよ！」
「ああ、面倒くせえな。ナミも来いよ！」
ルフィはそう言うと、ナミの手を引いて駈け出した。
「ちょっと、あたしはまだここの洋服みてたいの！」
「いいから、あとにしろって！」
ルフィは振り返りニイっと笑う。ナミは、はぁ・・・と諦めの大きなため息をついた。
ルフィが足を止めたのは古着屋であった。
入口近くに並んでいる服を手に取り値段を見ると、さほど高い価格設定ではない。近ごろは暴利を貪る店もあると聞くが、ここは良心的な古着屋のようだ。
ルフィはすたすたと店の中を通り、目的の服の前に行くとびしっと指さした。
「ほら、見てみろよこれ！」
それは黒色のマントであった。
膝丈のロングコートで、前合わせの部分はダブルボタンとなっている。裾がいくらか傷んでいたが、わざと粗めの生地を使ったデザインに見えなくもない。
「へ～、素敵じゃない。」
ナミが素直に褒めると、「だろう！」とルフィは喜んだ。
「だから、な、頼む、ナミ！金貸してくれ！」
「・・・ったく、あたしまで買う破目になったじゃないの・・・。」
「得したからいいじゃねぇか。」
にししと笑うルフィの両手には紙袋が二つ下がっていた。
内訳は黒色のコートが２着。ルフィの分とナミの分である。
ルフィにお金を預けたら店員の言うがまま支払うに違いないと、ナミが代わりに値下げ交渉に勇んで行くと、「同じシリーズでレディースもありますよ」と店員に勧められ、それを見たルフィが「おお～、いいじゃんか！」と騒ぎ出し、気付けばナミは試着することとなった。
―――我ながら素敵。
鏡に映った自分に満足していると、カーテン越しに「早く出てこいよ」とルフィの声が聞こえてきた。
勢いよくカーテンを開けマントを羽織った姿を見せると、ルフィは「すげ～似合ってる」とナミを褒めそやす。それで、つい「じゃあ、これもお願いしようかしら」・・・という展開になってしまった。
まったく予定外の買い物である。
とはいえ、「あれもつけていただけるかしら」と、ちゃっかり同色の海賊帽をおまけにしてもらったのは流石ナミと言えよう。
「いや～、いい買い物したな～。」
目当てのマントだけでなく海賊帽も手に入れ、ルフィはご機嫌であった。
「人のお金でよく言うわね、倍にして返してもらうわよ。」
「おう、まかせとけ！」
―――なにが『まかせろ』よ。
ナミは苦笑した。
「お帰りなさい。」
「ただいま、ロビン。」
船に帰ると、ロビンが甲板でひとり本を読んでいた。
「みんなは？」
「まだ帰らないわ。」
「そう。迷子になってなきゃいいんだけど。」
「ところでルフィ、ずいぶんと買い物をしたのね。」
「おう！」
紙袋をテーブルに置き、ルフィは自慢げに言う。
「かっけー海賊マントがあったんだ！ロビンも見てみるか？」
「ええ。」
こんなに喜んでいるならお金を貸した甲斐もあったな、とナミがぼんやり思っていると、
「ナミとお揃いなんだ！」
ルフィはこれまた満面の笑みでロビンに言った。
「ちょっ、ルフィ・・・！たまたまでしょ！？たまたま同じ色だったんでしょ！？」
『お揃い』という響きが気恥ずかしく、ナミがルフィの頬を抓ると、「あら、そう。」とロビンは読みかけの本をパタンと閉じた。
「せっかくだから二人で着て見せてくれないかしら。」
ロビンの言葉にナミは目を丸くした。
「おう、もちろん！」
ルフィはあっさり答えたかと思うと、ナミが反論するよりも早く、レディースのマントを紙袋から取り出しナミの肩にかける。
「これがナミので・・・」
そのまま勢いよく手を紙袋に突っ込み、ルフィは自分の黒のマントを宙に翻して腕を袖に通した。
「これがオレの！似合うだろ？」
ルフィはナミの肩を抱き寄せる。
―――ああ。もう・・・！
ナミは額に手を当てる。
ここにいるのが、ロビン一人で良かった。もし他に誰かいたらと思うと、ぞっとしない。
そんなナミの心の葛藤を知ってか知らずか、ロビンは「本当によくお似合い」と笑う。
ルフィも「だろ？」と笑った。
ナミはとりあえず「ありがとう」と答え、ほんのり色づいた頬をルフィの麦わら帽で隠した。
【あとがき】
『ＳＴＲＯＮＧ ＷＯＲＬＤ』がルナミだよと聞いたので、ぜひ見たいと思います！
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