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ヴァニラ学園 10 [ヴァニラ学園]

WEB拍手お礼SSとして掲載していたものです。
ヴァニラウェア作品のプリンセスクラウン、グリムグリモア、オーディンスフィアのクロス物語となっております。

苦手な方は、ご注意ください。



よろしければ「続きを読む」からどうぞ~。
オニキス、ヴォーグロド、イングヴェイ、ベルベッド、コルネリウスが出てきます。



●元許嫁



目の前に、食い物があったとする。
大好物というわけでもないから、食べずにとりあえず残しておいた。
それを他人に「食べないなら、もらってもいいか」と横取りされた。

「・・・とまあ、そんな感じなわけだ。」
オニキスは、口元をかすかにあげ不敵な笑みを浮かべた。

オニキスはボルケネルン家の嫡男で次期当主となる男だ。
幼いころからそういう教育方針のもと育てられてきたため傲慢なところもあるが、それが魅力と映ることが多くオニキスを慕う生徒は少なくなかった。
一言で言うと、同性に好かれるタイプである。
もちろん異性にももてるのだが、彼は一貫してこう断ってきた。
「悪りぃ。俺、婚約者がいるんだ。」
嘘ではなかった。
オニキスは、グウェンドリン・ラグナネイブルと婚約をしていた。
数日前までは。

食べ物の話をされたとき、ヴォーグロドは何のことやらさっぱりわからなかった。
眉間に皺をよせ考えるヴォーグロドを見、オニキスは吹き出した。
「婚約の話が流れたってことだよ。」
ヴォーグロドは驚く。
たしかオニキスとグウェンドリンの婚約は、先方のラグナネイブル家の方から申し込まれた話と聞いた。
それがオニキスの合意を得ずになくなった、と?
ヴォーグロドはラグナネイブル家の身勝手な振る舞いに怒りが込み上げてきた。
「いいのか、それで。」
「いいもなにも、もう決定事項だからな。」
事もなげにオニキスは言うが、ヴォーグロドはオニキスがグウェンドリンを大切に思っていたことを知っている。他のことはいい加減にやり過ごすこともあったが、女性関係ではオニキスは一貫して「婚約者がいる」と言い続けてきた。
それだけグウェンドリンに真剣だったということだ。

「・・・協力するぞ。」
「協力ってなにを。」
「・・・色々だ。」
具体的なことを考え付かない自分に舌打ちしながら、ヴォーグロドはかろうじて答える。
だが、オニキスに気持ちは通じた。
「俺も、お前とシドラエルへの協力は惜しまねぇよ。」
「・・・そんなことは言ってない。」
些かむっとした様子のヴォーグロドに、オニキスは声を上げ笑う。
「ヴォーグロド。」
「・・・・。」
「サンキュー。」
オニキスは拳でヴォーグロドの肩を、軽く小突いた。
ヴォーグロドも無言で拳で返した。




●恋人



鬱陶しくてかなわん。
イングウェイは目の前でいちゃつく、妹とその恋人を見てげんなりしていた。

二人の出会いは公園だったそうだ。
ベルベッドは散歩の途中、足に怪我をした猫を見つけた。病院に連れて行こうと、猫の足に自分のハンカチを巻いて抱き上げたとき、コルネリウスが現れたという。
「どうかしましたか。」
その瞬間、お互い恋に落ちた。そういうことらしい。
結局その猫はベルベッドが飼うことになったのだが、猫の様子を見るとかこつけて、コルネリウスは毎週やってくるようになった。
「ベルベッドに似て、この子はとても大人しいですね。」
「いえ、コルネリウス様に似て、とても優しいです。」
二人の会話を聞き、イングウェイはソファに寝ころびながら心の中で毒づく。
あほか。
その猫は、お前らのガキかっつーの。
「今日はリボンを用意してきたんですよ。この子に似合うとよいのですが・・・。」
「まあ、ありがとうございます。」
「ああ、ベルベッド・・・。私はあなたのその笑顔を見るためならなんだってする・・・!」
「コルネリウス様・・・。」
見なくてもわかる。
きっと二人は手を取り合って、見つめ合っているに違いない。
イングウェイは胸がムカムカしてきた。

「にゃぁ。」
気がつくと猫がソファの足もとに来ていた。
「お前もいい迷惑だよな、猫すけ。」
「にゃぁ!」
イングウェイが猫を抱き上げ、頬ずりをしていると。
「お兄さん、そんな名前で呼ばないでください!」
「そうよ!その子は『ラブ』だって、何度言えばわかるの、イングウェイ!」

―――ああ、誰かこいつらをなんとかしてくれ・・・!



【あとがき】
コルネリウスとベルベッドは、周りから鬱陶しがられるくらい(笑)、ラブラブでいてほしいと思っています。
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