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ヴァニラ学園 8 [ヴァニラ学園]

WEB拍手お礼SSとして掲載していたものです。
ヴァニラウェア作品のプリンセスクラウン、グリムグリモア、オーディンスフィアのクロス物語となっております。

苦手な方は、ご注意ください。



よろしければ「続きを読む」からどうぞ~。
エドワード、グラドリエル、アドヴォカート、リレ、イングヴェイが出てきます。



●再びエドワードとグラドリエル



「エドワード様、どうかしましたか?」
入学当時の思い出に耽っていたエドワードは、グラドリエルの声で現実に戻った。
「いや、なんでもない。」
そうですか、とグラドリエルはふわり微笑んだ。

入学してからもう3か月。
ガンメル校長の言ったように、今のところ事件などなにも起こっていない。
授業を受け、学友と食事をし、四方山話に花を咲かせる。
グラドリエルは、いたって普通の女子学生生活を毎日謳歌していた。
だがあくまでも、今のところは、だ。
危うい可能性がある限り、エドワードは警戒を怠るつもりはなかった。
「そういえば、イングヴェイ先輩とメルセデスが・・・」
グラドリエルが何か思い出したのか、楽しそうに話しだす。
エドワードは、“イングヴェイ”と聞いて忌々しい思い出がよみがえり、心の中で舌打ちした。

グラドリエルとエドワードは二人揃って剣道部に入部した。
別に示し合わせたわけではない。
二人とも剣の道を志すものであるが故だ。
―――これでグラドリエルの帰路の安全は、思う存分俺が守ることができる。
エドワードはほっと息をついた。
だが。
「わたし、化学反応同好会にも入会しました。」
グラドリエルからこう告げられ、エドワードは愕然とした。
人数集めのため入会したとグラドリエルは言うが、真面目な彼女のこと、出来得る限りはその同好会に顔を出すだろう。
ということは、帰りが別々になる日がある、ということだ。
―――そんなことになってたまるか・・・!
エドワードは聞いたその足で、化学反応同好会に向かった。
理科室の扉を開け、開口一番、
「俺も化学反応同好会に入会する。」
エドワードは堂々と宣言した。




●エドワードと化学反応同好会



答えは「却下」の一言であった。
「な・・・!」
思いもよらぬ返事にエドワードは言葉を失った。
「先輩・・・」
A組の特待生リレ・ブラウが、少し呆れたような声を出し、声の主を見た。
目つきの鋭い男はリレの視線を無視し、続ける。
「残念ですが、わが同好会は只今会員募集を行っていません。あしからず。」
言葉とは反対に、悪いとはまったく思っていない口ぶりである。
「な・なぜだ。せめて理由くらい聞かせてもらおう。」
食い下がるエドワードを面倒と思ったのか、男は「あとはあちらへドーゾ」と、奥にいるもう一人の男を指す。
指された男は「ったく、面倒な・・・」と呟いた。
だが、エドワードは後に引くつもりなどない。
じっと言葉を待った。
男は「やれやれ・・・」とため息をつき、
「うちは女子目当ての入会希望者はお断りだ。」
エドワードはカッとなった。
「なんだと・・・!そんな不埒な理由ではない!俺はグラドリエルを守る、」
と、そこでエドワードは口を噤んだ。
「・・・そういう輩が多くて困るんだ。」
苦笑いで男は言う。
エドワードにとってグラドリエルを守ることは名誉ある使命であり、シェリウス・エルファーランへの忠義の証でもあり恩返しでもある。
だが、この上級生たちにとっては、そんなことは知ったことではない。
いくらエドワードが反論したところで、彼らにとっては『グラドリエル目当て』と同じことなのだ。

不本意だ。非常に不本意だ。

エドワードは下唇を噛んだ。



【あとがき】
「同好会に入会させてください!」と、低姿勢でお願いしないのがエドワード君なのでした。
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