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葛葉ライドウ小話 2 [ライドウ小話]

前回の続き、ライ伽耶話後編です。
でもライ伽耶というより、鳴海さんとタヱちゃんがいちゃついてる話、と言った方が良いかも・・・。


よろしければ「続きを読む」からどうぞ~。



「・・・鳴海さん・・・。」
タヱちゃんの呆れた声が聞こえる。
「意地悪ねぇ。ライドウ君、困ってたじゃないの。」
「そう?あいつ無表情だから気付かなかった。」
「・・・ほんと意地悪ね。」
タヱちゃんの目がより細くなったが、
「そういうタヱちゃんこそ女優じゃないか。」
と俺が言うと、急に話の矛先が自分に向けられ驚いたのか、タヱちゃんは目を丸くする。
「『大道寺伽耶さんね』なんて、まるで親しくない間柄のようだよ。」
俺がこう言うと、タヱちゃんはえへんと胸を張って答える。
「出会いにはドラマチックな演出が大事なのよ、鳴海さん!」
・・・威張ることかね。でもライドウはいなくなってしまったし、演出も何もないじゃないか。ああ、こう言ったら、『鳴海さんのせいじゃない!』ってどやされそうだな・・・。

なんてことをつらつら考えていたら。

パタパタ、と軽い足音が聞こえてきた。
その足音は探偵事務所の前で、トントンというノック音に変わる。
時間ぴったりだ。
俺とタヱちゃんは思わずにんまり顔を見合わせた。
「どうぞ。」

「失礼します。」
柔らかい声とともに現れたのは、大道寺伽耶嬢。
ついさっきまで、話題に上っていたまさにその人。
心なしか頬が赤いのは、早足で来たせいなのか他に理由があるのかは、追及はしないでおいてあげよう。
鳴海昌平、レディには優しいのがモットーである。
「伽耶ちゃん、いらっしゃい。」
タヱちゃんがソファへと案内した。すかさずゴウトがにゃぁと猫撫で声を上げ、伽耶ちゃんの足もとにすり寄る。
「あ、ゴウトちゃん!久し振りね。元気にしていた?」
伽耶ちゃんはゴウトを抱き上げた。ゴウトも再会を喜んでいるのだろう。伽耶ちゃんの膝の上で顎を撫でられ、ゴロゴロと気持ち良さそうにしている。
実は伽耶ちゃんは、あの事件以来、時々鳴海探偵社に顔を出してくれているのだ。以前俺が「アルバイトでも」と言ったことを覚えていてくれたようで、お茶入れや資料の整頓を手伝ってくれる。手際はいいし、ライドウのように余計な一言もないし、お世辞ではなく本当に助かっている。
そしてこのことは勿論ライドウには内緒である。タヱちゃんの言葉を借りるなら、俺なりに『ドラマチックな演出』を狙ったとこなんだけど。
当の本人がいないんじゃ話にならないっつーの、全く。
「あら、伽耶ちゃん、この紙袋は・・・?」
ソファにちょこんと乗っている小さな紙袋を見てタヱちゃんが尋ねると、伽耶ちゃんの頬にさっと朱が走った。
「あの・・・ライドウさんに大学芋を、と思って・・・。」
お口にあえばいいのですけど、と小声で付け加える伽耶ちゃんはまさに可憐な少女。
あらら。ライドウ、バッドタイミングってやつだな。伽耶ちゃんのこんな可愛らしい表情を見逃すなんてさ。
それもこれも、俺が止めたのに、話を聞かなかったからだ。自業自得だぜ。
「ま、伽耶ちゃん、ライドウが帰ってくるまで、鳴海スペシャルはいかがかな?」
俺は席から立ち上がり、伽耶ちゃんににっこり笑いかける。
すると伽耶ちゃんも、満面の笑顔で「はい!」と答えた。


さて。
扉を開けた瞬間、ライドウがどんな顔をするか楽しみだ。
・・・なんて言ったらタヱちゃんにまた「意地悪」って言われるだろうけど、おそらくタヱちゃんも同じように思っているはず。既に顔がニヤニヤしてるからな。
とりあえず、ライドウの驚いた顔を楽しんで。
そのあとはライドウが買ってきた大学芋と、伽耶ちゃんが作った大学芋の味比べといきましょうか。
勝負は言うまでもないだろう?
なあ、ライドウ?




【あとがき】
結局再会シーンはなしになってしまった・・・(笑)!
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